遺留分減殺請求されたらどうする?相続財産を渡さない4つのポイント

2019.12.29

大切な方が亡くなって、遺言書に従って相続を開始したはいいものの、他の相続人の相続分まで及んで全額・もしくは全額に近い金額を相続で受け取った場合、そこで安心してはいけません。

相続手続きとして、名義変更や相続税の準備も必要になってきますが、それより前に「遺留分滅殺請求(遺留分侵害額請求)」と呼ばれる訴えを、他の相続人からされるかもしれないからです。

遺留分滅殺請求(遺留分侵害額請求)とは何なのでしょうか?簡単にいえば、相続分割で相続人の誰かが不公平なことにならないようにある程度の資産を保障してくれる制度のことです。

実際に請求されたるパターンを見てみながら、請求をされたときにどんな対処をすればいいのかお伝えしていきます。

遺留分滅殺請求

そもそも「遺留分滅殺請求」とは何なのでしょうか?相続の際、遺言状が無ければ法定相続割合で相続をするのは聞いたことがあると思います。

良くテレビや本などでサザエさんのケースで誰が何%相続するのか、といった割合で社会科の教科書でも出てきます。

ただし、これは遺言状によって相続させたい配分が指定されていればそちらが優先されるよう法律で定められています。
常識的な内容であれば素直に遺言に従えばいいと思うのですが、

「愛人の○○に遺産を全額譲る」
「次男の○○には相続しない」
「妻の良子に3,000万円、子ら3名にはそれぞれ100万円を相続する」

などといった内容だと、相続人全員にお金自体は行き渡っているかもしれないですが、不公平な感じはすごいですよね。

こういった不公平や、相続人の経済状況の保護をするために、ある程度の資産は相続する権利を行使できるというのが「遺留分滅殺請求」で、そこで保護されているある程度の資産の割合を「遺留分」と言います。

おそらくこの記事を見ている方の中にはすでに「遺留分滅殺請求」を受けている、もしくはそのための内容証明郵便が届いている方がいらっしゃるかと思いますので、実践的に「遺留分」を解説し、どれぐらいの請求、もしくは対価を払う必要があるのか見ていきます。

遺留分の額

そもそも遺留分とは、法律で定められた相続人それぞれの最低の取り分のことで、財産の相続の公平性を守り、相続人の生活を保障するためにあらかじめ割合で決められています。

そのため相続人の人数や続柄に応じて割合や金額が決まります。もし請求を受けているとしたら、請求を起こしてきた方の続柄から、遺留分をどの割合もっていて自分の場合だとどれぐらい請求される可能性があるのか、はっきりさせるのが必要かと思います。

・相続人が配偶者と子の場合は、遺産総額の1/2を分け合います。
 ➡配偶者がそのうちの1/2を、子は1/2を人数で分け合います。
  例)遺産が3,000万円で配偶者と子2人なら、遺留分の総額は1,500万円で、配偶者は750万円、子は375万円ずつが個人の遺留分となります。

・相続人が配偶者と父母の場合も、遺産総額の1/2を分け合います。
 ➡配偶者がそのうちの1/2を、父母は1/2を人数で分け合います。
  例)遺産が3,000万円で配偶者と父だけなら、遺留分の総額は1,500万円で、配偶者は750万円、父は750万円ずつが個人の遺留分となります。

・相続人が父母だけの場合は、遺産総額の1/3を分け合います。
 ➡父母はそれぞれ1/2が個人の遺留分です。
  例)遺産が3,000万円で父母ともに健在なら、遺留分の総額は1,000万円で、父母それぞれは500万円が個人の遺留分となります。

・相続人が兄弟しかいない場合は、遺留分はありません。

遺留分滅殺請求の仕方

遺留分滅殺請求は請求の方法に制限がありませんので、例えば以下のような方法で請求を受けることがあります。

・口頭での請求
・電話やメールといった通信手段による請求
・内容証明郵便による請求

やはり一番多いのは内容証明郵便による請求で、遺留分滅殺請求をする意思表示をした日付がそのまま証明されるためです。というのもこの請求には実は時効が定められている為です。

・遺留分をもつ方が、相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内に行使しなければならないという「消滅時効」

・相続開始から10年以内に行使しなければならないという「除斥期間」

内容証明郵便を使えば公式に行使した日付が記録されますので、これらの期間内に意思表示を行った証明として使われるわけです。

時効期間内に1度でも請求する意思表示を行えば、解決するまで永遠に請求権は消えません。そのため請求してくる方は「遺留分を減殺請求する意思表示を時効期間内に行った」という証拠を残すべく、内容証明郵便での請求を用いてくることが多いのです。

遺留分減殺請求を受けて遺留分を渡す

遺留分の請求を受けた場合、相手が弁護士の存在を表明しなくても、バックには弁護士がついている可能性が高いです。

まずはその内容を確認し、こちらも弁護士などの専門家に相談するのが一般的ですが、請求されている金額が妥当なものであり、納得できる場合、そのまま渡すということも考えられます。

その場合は請求されている遺留分に相当する金額を相手方に支払うことで手続きが完了します。ただし、その際の手続きは文面などに残して記録しておくのが良いでしょう。

遺留分減殺請求を受けて遺留分を渡さない

実際に一円たりとも渡さないというのは難しいです。というのも遺留分は相続人に認められた権利ですので、請求されたら拒否をすることはできません。

ただし、請求額を減額する手立てはありますので、弁護士などに相談して以下の手段をとるとよいかと思います。

遺留分減殺請求日を確認する

もし時効が過ぎた日に意思表明をされても、遺留分の請求権は失われていますので主張することができません。となると、請求自体が無効となり対応する必要がなくなります。

もし仮に時効を過ぎている請求に対応してしまった場合、時効による請求権の喪失をこちらが主張することができず、不利な局面に陥ってしまうので、必ず弁護士に相談してください。

相続財産を評価し直す

これらは評価が難しい、もしくは評価の方法が複数ある為、これらの財産の評価額を下げる方法で査定をし直してみると、遺産総価値が下がる為、割合で定められている遺留分も遺産を現金換算した評価額と連動して下がります。

例えば、相続人が息子2人で、遺産は1,000万円の現金と不動産で、遺言には長男に遺産のすべてを相続すると書いてあった場合で考えます。

この時遺留分は、子だけなので遺留分の割合は1/2、子が2名ですので長男も次男もその1/2の1/4ずつです。

相続時の不動産評価額が時価で3,000万円だったとすると、総資産は4,000万円で、次男の遺留分はその1/4の1,000万円と評価されます。

しかし、不動産の評価方法を固定資産税評価や路線価に変更して評価額を下げることができますので、それで一番低い評価額が2,000万円になったとすると、総資産は3,000万円で、次男の遺留分はその1/4の750万円となり、時価評価の時から250万円もさげることができます。

特別受益を確認する

もし相手が生前贈与を受けていて、それが特別受益に当たると認められれば、その分の金額が遺留分から控除されていきます。

もし遺留分より特別受益の方が金額が大きければ、それで請求は相殺されますし、金額は小さくても当別受益だと認められれば遺留分として支払う金額を減らすことができます。

もちろん、遺言状によって贈与された財産も遺留分から控除されていきますので、そこも確認する必要があります。

ただし、特別受益に当たるかどうかというのは裁判所の認定がいりますし、これがとても厄介な手続きになりますので、弁護士に相談して任せた方が良いです。

価額弁償を提案する

遺留分減殺請求が行われると、遺留分の割合や価値に見合う持ち分が相手へ移りますので、不動産や株式などの財産が相手方との共有になり、その処分時に相手方の承諾を得ないといけなくなるため、大変面倒なことになってしまいます。

そこで不動産や株式などを共有財産にする代わりに、現金で相手に渡すことができる価額弁償を提案することもできます。

特に不動産においては、売却し換金する場合の仲介手数料や譲渡所得税がかかるところを、価格弁償によってそのお金を支払うことなく現金で受け取れることがメリットとなり、減額できる可能性があります。
  

相続分がなく納得できない場合

ここまで遺留分を請求される側の立場を見てきましたが、遺留分を請求する側の立場も実は他人事ではありません。相続というのは直系の親族が亡くなる際には必ず起こりうることです。

親が亡くなったときに愛人の方に全財産を遺すという遺言が出てきたり、我が子が亡くなった時に、我が子にさらに子がいなければ、あなたにも遺留分が発生しますので、その時に妻に全財産を遺すという遺言であれば、それに対しては遺留分減殺請求権が発生することになります。

人の考えはその人にしかわかりません。上記のパターン以外にも、様々なパターンで予想を裏切ってくることが考えられます。

本来ならば生前にしっかりと相談しておくことが重要なのです。しかし、相談を行う前に亡くなってしまった場合や、そもそもそこまでの関係性が築けていない場合などは打合せができないこともあります。

そういった場合に遺留分の請求をする権利を知っておくだけで、損をしない場合があります。他にも相続にはたくさんの制度がありますので、この記事を読んで下さっているあなたが損をしないようにも、ぜひ弁護士や司法書士などの専門家に相談しておきましょう。

最後に

今回は遺留分についての解説でした。何かわからないことがありましたらお気軽にご相談ください。

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